テレ東 世界遺産三大迷宮ミステリー モナリザの謎

まず冒頭のダイジェストで、ナビゲーターの貫地谷しほりが
「プラドにあるのがモナリザならば
ルーブルの絵はいったい誰なのでしょうか」
と問いかけます。

この番組では一貫してレオナルドと呼びます。
ダヴィンチとは、ヴィンチ村出身という意味で
名前ではないからだそうです。

まずイタリアのフィレンツェからスタート。
セルビディマリア修道院、2005年にレオナルドの工房と判明したとのこと。
モナリザに使われた絵画技法、スフマート技法、空気遠近法、黄金比率
などの解説。

そしてサンタ・マリア・ノヴェッラ教会
モナリザのデッサンを書いた場所と紹介。
TBSで触れた警察学校の話は無し。
教会の柱も紹介しましたが、本家ルーブルのモナリザの端に描かれてる柱と
一致するから、ルーブルモナリザはここで描かれたのだとしていました。
アイルワースのモナリザはまだ登場してません。

モナリザを赤外線3次元分析したら、頭から体まで紗のベールで覆われている。
当時のイタリアでは、出産前後にまとう風習があった。
リザが次男を生んだ1503年ごろに描かれたのは間違いないと。

そして「衝撃的なニュースが世界をかけめぐりました」と貫地谷しほり。
いよいよ、アイルワースモナリザかと思ったら、
スペインのプラド美術館にあるモナリザは、模写とされてきたが
ルーブルと同じ時期にレオナルドの工房で描かれたことが判明しました
ということでした。

その後、「実は最近スイスでモナリザとされる別の絵が公開されました」
とようやくアイルワース版が登場しました。
しかし、レオナルド研究のウルバニアーナ大学教授が
「違います」と完全否定。
画力が明らかに違う。ルーブルはあらゆる面で完璧。
アイルワースは雑さが目立ち、完成度が低い
ルーブルの背景は奥行きがしっかり表現されている。
アイルワースは奥行きもなく何が描かれてるかもわからない。
ルーブルのモナリザの影はレオナルドの卓越した技法で可能。
アイルワースは若く見えるが実際はそうではない。
単純化され技法も後世のものが使われている。
ルーブルは板、アイルワースはキャンバスに描かれている。
レオナルドはキャンバスに描くことはなかった。
アイルワースは後世の画家が模写したものだ。
と言います。

 


いよいよプラドのモナリザです。
発見されたときは背景は黒で塗りつぶされていたそうです。
まだ未完成と考えられたので、
黒で塗って価値をあげようとしたのではないか。
赤外線・紫外線・X線、さらに画材を科学分析した結果、
レオナルドの工房でルーブルのモナリザと同時期に描かれた
と判明。

プラド美術館の見解は、弟子の誰かが描いたのだろうというもの。
だがレオナルド作じゃないと言い切る明解な証拠もないので
本人作の可能性はあります。

構図が似ていて、背景を空気遠近法で描いている。
色合いも、ルーブルのモナリザを当時の色に復元すると似ている。
どちらも木の板に書かれている。サイズもほぼ同じ
赤外線で下絵の線を見ると、ルーブルと細かな点も一致
2枚は同時に描かれたと思われる
という分析です。

同時代にモナリザを見たジョルジョ・ヴァザーリの証言、
「若く、唇は赤く、眉は薄く伸びている」もプラドと一致すると
言います。これはアイルワース版が本物だという根拠でもあるのですが。

ここからは、どうしてプラド美術館にモナリザがあるのか、
その経緯を追います。

しかし、いろんな所をさんざん紹介したあげく、
「モナリザの手がかりはなかった」って、おい。
美術研究家によると、イタリアの美術商からスペインの公爵が買い、
王室に献上したのだろうということですが、すべて推測です。

もともとプラド美術館の所蔵品は王宮図書館にあったもので、
スペイン王宮図書館副館長によると、
昔の目録にレオナルドの婦人画と名前があり、
記録された大きさがプラドモナリザと一致しており
レオナルドのものに間違いないとのこと。

そして番組は次の謎へ。
プラドが本当のモナリザなら、ルーブルはいったい誰なのか?

イタリアで、レオナルドの絵画解析の第一人者マルコ・マネッティ氏によると
レオナルドが生涯手放さなかった絵は3枚。
2枚は宗教画なのに1枚だけ婦人画。
女性の肖像画の背景は普通は屋内なのに、モナリザは屋外。
レオナルドが描いた宗教画の背景も荒涼とした大地。
レオナルドはモナリザの構図が気に入っていたので、
そこでそこから柱をなくし、背景を屋外にしたことで
宗教画にしたのではないか。
この女性はベールをまとっている、つまり妊娠している。
妊娠女性の宗教画とすれば、モデルはひとりだけ、聖母マリアしかない。
手放さなかった3枚の絵で、救世主の到来、聖母の妊娠、キリスト誕生を描いた
という、最後になって急展開の結論になりました。

ちなみにこの番組、ルーブル美術館ではロケしてません。
イタリアとスペインの2ヶ国だけです。

前半はプラドのモナリザを追いながら、最後は
ルーブルのモナリザは誰なのかという話になったのに
ルーブルのモナリザ取材がないのはちょっと締まらなかったですね。